「カランコロン」
さて、ミツオ君はママに何の相談なんでしょうか。なんだか信頼のおける経験豊かな女性にしか相談できない内容のような気がします。ちょっとエッチな匂いがしますね・・・
シリコーンとシリコン
シリコーンとは
シリコンというと一般的には、女の人の胸に使うものを想像しがち(特に飲み屋では)ですが、半導体に使われているシリコンは柔らかくありません。かつて私が飲み屋さんへ行ったときに「シリコン関係の仕事をしている」と言ったところ、変な目で見られたことがあります。
実は、女性の胸につかうものは正確には「シリコーン」です。英語のスペルは「silicone」なのです。半導体の材料になるのは「silicon」です。最後にeがつくか、つかないかで全く違うものになるんですね。
シリコーンは、先に紹介したとおり豊胸に使いますが、その他にもとても多くの使用用途があります。ホームセンターなどで入手できるシーリング材(漏れを防ぐために使います。)や、医療用のゴム製品、変わったところでは制汗剤などにも使用されています。
シリコーンは半導体の世界でも活躍しています。電気絶縁性(電気を通さない)が高いので、絶縁材として使われたり、-100~250℃近い環境でも耐えられるため様々な利用方法があります。
また、基本的には人体に対する安全性も高いため、化粧品の原料にも使用されています。豊胸に使用されているのはゼリー状のシリコンジェルをシリコンパックに詰めて使用しています。しかし、豊胸に使用されたシリコーンはまれにアレルギーを起こすことがわかっており、シリコーンパックが劣化して破損した場合の事故も報告されています。
シリコーンは、名前が似ているだけではなく、シリコンと関わりがあります。そもそもシリコーンはシリコンと酸素の結合物質なのです。(Si-O-Si)
シリコーンの名付け親
シリコーンは1927年、イギリスの化学者フレデリック・キッピングによって名づけられたシリコン化合物です。キッピングが発見したのは酸素とシリコン(ケイ素)の二重結合化合物でいわゆるシロキサンとよばれているものです。
シロキサンとは、酸素とシリコン(ケイ素)の結合体のことですが、以前お話したように半導体製造の過程で製造される危険なものもシロキサンと呼んでいます。 半導体製造には危険がいっぱい
こうして歴史を並べてみると、シリコンという素材は最初は半導体ではなく、シリコーンとして出てきたように見えます。キッピングさんは実用化につなげるために随分と貢献しました。
しかし女性の豊胸などに利用される時代がくる、などとは全く考えていなかったでしょうね。先に紹介したことの他、シリコーンは美容に関するところで活躍しています。髪のダメージを抑える効果があるということで、ヘアケア製品にも使用されています。
さてミツオ君の悩みですが、どうやら豊胸手術だけではなさそうです。
シリコンは?
さて、シリコーンのことが何となくわかったところで今度はシリコンについてお話していきます。シリコンとは原子番号14の元素のことです。原子記号はSi、日本名はケイ素といます。
シリコン自体は銀色をしていて、やわらかいなんてことはありません。そのままではほとんど使いものならないのです。先に紹介した酸素との結合でできたシロキサンや半導体が、シリコンが脚光を浴びる要因となったのです。
今まで半導体とシリコンの関係に関してご紹介してきましたが、シリコンがどのように半導体になっていくのか、についてのお話はしていませんでした。
半導体や集積回路はシリコンウェハーと呼ばれる円盤状になったものの上に作られます。つまり半導体の大元ですね。ウェハーはお菓子にもあるウェハースのウェハーです。
シリコンは土の成分なので、地球にはいっぱいあります。元の材料には事欠かないわけです。ですから、半導体産業は、地球に住む私たちにとって約束された事業だともいえるかもしれません。
そしてシリコンウェハーは近年大口径化が進んでいます。開発当初は20㎜からスタートして今ではその10倍の200㎜、さらに300㎜が主流となり、450㎜という大口径を見据えています。
この大口径の背景には、コストの問題がからんでいます。すなわち1枚のより大きな径のウェハーからはより多くの半導体がとれるため、全体としてのコストが下がるからです。
しかしながら大きなウェハーを作る技術やその歩留まりをあげるというのは大変なことでおいそれとはいきません。事実、車に乗せる半導体のウェハーはいまだ200㎜が主流で、300㎜はまだそれほど貢献していません。(2020年現在)
まとめ
名前は似ているが全くちがうものが世の中にはそれなりにあります。ちょっとマイナーな話になりますが、健康診断の血液検査でヘモグロビンという項目があります。それと似ているヘモグロビンa1cっていうのもあります。この2つ名前がそっくりですが、内容は違います。
他にも次亜塩素酸と次亜塩素酸ナトリウムっていうのもあります。これらも混同しがちです。
同じように、シリコンとシリコーンも間違いやすいですね。ネットで検索しても「シリコン」で検索すると「シリコーン」の話が出てくることがあります。半導体シリコンのことを調べたいのであれば、面倒でも「シリコン 半導体」と検索した方が無難ですよ。
お問い合わせ