ママの質門にこたえようとセミオ君もミツオ君も頑張っているのに、相変わらずママはひどい・・・。それでもママがもう少しという以上話を進めましょう。
「カラン、コロン」
(小さな声で)
アナログ回路といえば増幅回路
前回アナログとデジタルの違いについて紹介しましたが、それでは、アナログ回路とデジタル回路とは具体的にどのような違いがあるのでしょうか。なぜアナログ回路はトラジスタの増幅回路が基本なのか。
アナログ回路は連続した量を制御する回路です。電流や電圧は連続した量ですよね。それを直接扱うからアナログ回路なのです。また、トランジスタの増幅回路は、他のアナログ回路の発振回路やフィルタ回路と比べてもわかりやすい、ということがあります。
今回は信号増幅の際にどうやって信号を入力するのか、またどうやって取り出すのかについて紹介していきます。
増幅回路の入力と出力
増幅について以前紹介していますが、もう一度確認しましょう。(参照:半導体 アナログ回路とは その1)
入力側の電圧と電流がその回路(この場合増幅回路)を通すと電気信号が増大されて、出力電圧や電流となって出力側に現れる、これが増幅です。
今までは直流のみで例を見てきましたが、実際には交流信号を増幅する機会の方が多いので、交流を増幅していく例を確認していきましょう。ただし、交流を増幅するといってもトランジスタを使用する以上、バイアス(参照:半導体 アナログ回路とは その1)が必要になるので、直流も使用します。
エンハンスト型とディプレション型
突然ですが、以前紹介しなかったFETについて少し追加で紹介します。
MOS FETにはNチャネルとPチャネルがあることは紹介しました。その他にFETにはエンハンスト型とディプレション型というのがあります。
上図はNチャネルのディプレッション型の例です。ディプレション型とエンハンスト型の違いは上図のゲートーソース間の電圧がゼロでもつながることです。あらかじめソースとドレインの間に薄いチャネルを作ってあります。
この状態ですとゲートーソース間に負の電圧をかけるとドレインーソース間に流れる電流が減ります。逆に正の電圧をかければ、電流が増えます。
今まで紹介してきたのは、エンハンスト型で、これはFETのゲートに電圧がかかっていない状態ではチャネルが作られないタイプです。
以下にNチャネルの基本増幅回路の例を紹介していきます。
基本増幅回路
上図はNチャネルのFETの基本増幅回路です。増幅回路でまず必要なのは、バイアスの設定です。バイアスについては前回紹介しています。(参照:半導体 アナログ回路とは その1)
バイアスを間違うと交流の綺麗な正弦波が得られません。増幅されて得られる出力の波形の中心にバイアスをとる必要があります。違っていると波形の上部が出力されなかったり、逆に下部が出力されなかったりします。
適切なバイアスをかければ、正常な増幅結果が得られます。出力であるVdsはVdーR*idで表されます。Rの両端の電圧はidに比例するので、下図のような波形になります。
ドレーンの電圧は入力信号電圧バイアスを中心に変化します。主力される電圧Vdsの変化分をVoとするとVdsはバイアスVdsq+Voになります。このVoが、viの振幅よりも大きくなっていれば増幅されている、ということになります。
増幅回路の特性
増幅回路の特性として、前回は電圧利得とか、電流利得について紹介しましたが、今回は交流回路も含めてお話していくので、もう一つ大事なことを紹介していきます。それは、インピーダンスというものです。
インピーダンスとは交流における抵抗のようなものです。オームの法則という電気回路ではとても有名な法則では、抵抗はその回路の電圧を電流で割った数値になる、ということです。式で書くとR=V/Iですね。
上記は直流の場合の式ですが、交流でも同じことがいえます。ただし、直流の場合の抵抗とは違い、複雑な要素が絡まっています。インピーダンスの単位はΩで、通常ℤで表します。式で書くとZ=V/Iとなります。
このインピーダンスには、入力と出力があります。今回紹介したソース接地回路の特徴として、入出力のインピーダンスが高いことが挙げられます。また、電圧の増幅率が高いことも特徴の一つです。
バイポーラトランジスタにおけるソース接地に対応するのが、エミッタ接地回路ですが、こちらは電圧電流ともに増幅可能で、結果として電力の利得(電力は電圧と電流をかけたものです)もっともよく使われる回路です。また入力インピーダンスが低く、出力インピーダンスが高いのが特徴です。
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