飲み屋でうける半導体の話
半導体と人生をリンクさせてみよう
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最初の半導体とそれ以前の話

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ママ
ママ
いらっしゃい、スミオちゃん、今日はご機嫌いかが?
セミオ
セミオ
いつも通り絶好調ですよ。
ママ
ママ
じゃあ、今日も半導体のことを教えてもらえるのね?
セミオ
セミオ
いいけど、ママは前回までに話したことはちゃんと覚えているの?
ママ
ママ
もちろんよ。ダイオードでしょ?一方向にしか、電流を流さないのよね。
セミオ
セミオ
素晴らしい、ママ。よし、今日はダイオードの具体的な働きとそれ以前はどうしていたかについて説明するね

ダイオードの整流作用とは?

ダイオードは、PタイプとNタイプを接合してできています。ダイオードのように一方向にしか電流を流さないことを整流作用といいます。整流とは、流れを整えることで、家庭で使われる交流電流を直流にする働きがあります。

交流電流とは、+と-が交互に入れ替わっている電流です。つまり、流れる方向が入れ替わり続けています。対して直流電流とはいつも同じ方向に流れていて、+と-の入れ替えはありません。

中心の線をゼロとすると上側が+で下が-です。入れ替わっています。東日本では1秒間に50回入れ替わりが起き、西日本では1秒間に60回入れ替わりが起きています。このことを50hzとか60hzとかいいます。

交流回路にダイオードを通すと一方向にしか流れないので

のようになります。なんかみっともないし、使えそうもないですね。もちろんこの後さらに色々工夫して最後にはこんな感じになります。

これには、いくつかのダイオードとコンデンサというものを使いますので今は「ダイオードってこんなことができるんだ」という事を覚えておいてください。

ママ
ママ
まあ、一秒間に何度も電気の方向が入れ替わっていたのね。全く気付かなかったわ
セミオ
セミオ
蛍光灯は目に見えないだけで北日本なら1秒間に50回、西日本なら60回ついたり消えたりしているんだよ。
ママ
ママ
でもセミオちゃん、どうして整流しなきゃいけないの?電気が全部交流で動けば、特に必要ないような気がするんだけど・・
セミオ
セミオ
そうだね。でも、現代のほとんどの電気製品特に半導体が直流で動くんだ。だから整流が必要なのさ。
ママ
ママ
じゃあ、最初から、直流でおくればいいんじゃないの?
セミオ
セミオ
それだけでも困るんだ。その話になると半導体から離れてしまうから、また別の機会に
ママ
ママ
もう、意地悪ね、スミオちゃん!

半導体以前・・真空管って何?

半導体ができる以前には、整流の必要はなかったのでしょうか。そうではありません。真空管というものが今のダイオードなどと同じ働きをしていたのです。

真空管は、2極のタイプと3極のタイプがあり2極のものはダイオードと同じ働きをしますが、欠点が多く使い勝手が悪かったので、もっといいものをという事でダイオードが開発されたのです。

2極真空管

金属は熱すると金属内の電子の動きが活発になり、金属の表面を飛びこえて外に飛び出してきます。その原理は、金属を熱した時に出る電子(熱電子といいます)を利用しています。この熱電子を利用して2極真空管ができたのです。これはエジソンが発見したのでエジソン効果とも呼ばれています。

そもそもは、エジソンが白熱電球を発明した時点で2極真空管は可能だったのです。しかし2極真空管の発明までそれから約20年かかりました。エジソンは、残念ながら、実用化しようとしなかったようです。2極真空管は、1904年にイギリスのフレミングが発明しました。

上図の右側はフィラメントというもので、金属でできています。コイルに熱を与えると電子が飛び出てきます。その電子は、+の電極になっている金属へと吸い寄せられます。結果としてコイルと金属との間で電流が流れます。

右下にある+と-を入れ替えてしまうとどうなるでしょうか。フィラメントは熱せられて、電子が出ますが、金属板の方は-なので、-と-同志でフィラメントと金属板間には電流が流れない、ということになります。

これは、片側にしか電流が流れないので、ダイオードと同じことができている、ということです。ちなみに2極真空管のこともダイ・オードといい、その由来はDi・Ode(2つの)・(道 電気が通る)から名づけられています。

ママ
ママ
真空管ねぇ。そういえば、昔聞いたことがあるような・・
セミオ
セミオ
そう。今の大‐オードのように活躍していたんだよ
ママ
ママ
でも不思議ね。金属を熱すると電子が飛び出すなんて
セミオ
セミオ
エジソンは観察力に優れていたんだね。さすがだよ。
ママ
ママ
でも真空管は違う人でしょ?
セミオ
セミオ
エジソンは実業家でもあったから、これ以上はもうからないと思ったのかも・・
ママ
ママ
なんか、もったいない話ね。

3極真空管

ママ
ママ
そういえば、真空管にはまだ続きがあったわよね?
セミオ
セミオ
さすがママだ。そう3極真空管っていうのがあったんだよ
ママ
ママ
それはどんなものなの?

3極真空管は、先の2極真空管に対してその名の通り3つの極がある真空管のことです。発明されたのは1906年、リー・ド・フォレストという人が発明しました。フォレストは、2極の真空管では、熱した金属にかかる電圧をあげても飛び出す電子の数に限界があると気づきました。

これは、フィラメントからの電子が、金属板の表面にとどまりもう一方の極にたどり着かないからです。そこでフォレストはフィラメントと金属板の間にもうひとつ格子状の電極を付けました。これにより格子の間を潜り抜ける電子とくぐり抜けない電子ができて、より多くの電子を送り込むことができます。

この時に格子電極にかける電圧(電子を押す力)を変化させると金属板に流れる電子の量を制御できることがわかりました。そして、フィラメントとグリッド間の電圧を変化させれば金属板とフィラメント間の電圧を変化することがわかったのです。

しかも、フィラメントとグリッド間がわずかな変化でも金属板とフィラメント間は大きく変化したのです。この変化を増幅作用と呼んでいます。

ママ
ママ
考えてみれば、単純な思いつきにも思えるけど。
セミオ
セミオ
ママ、それは、後出しじゃんけんみたいなもんだよ。ただ、電子の数が増えないんだから、もう一つ増やすところまでは気づきそうだね。
ママ
ママ
だって、その頃電子の大きさはわかっていたのかしら?
セミオ
セミオ
電子の発見は19世紀後半にされていたんだ。大きさははっきりわかってはいなかったようだけどね。
ママ
ママ
まあ、金属板では通り抜けないのだから、網のようにする、っていうのはなんとなくわかるわ

まとめ

今回はダイオードの整流作用から、元になった真空管のお話をしました。エジソンをはじめとする先人たちの注意力のすごさがわかります。目には見えなくとも「何か、ある!」という事が、現代の科学の基礎を作ったのですね。

心と電子、やはり共通性があります。人の心もまたそれを動かす力(今回は電圧)を逆にすれば、動かなくなりますよね。そして3極真空管で追加された格子の電極は、いうなれば、行きつき場のない感情(心)を受け取る第三者ともいえるのではないかと思えます。

二人の間に問題があれば、間に立つ第三者が強い感情の流れを受け止めてくれる。人間の世界とにていませんか?

ママ
ママ
確かにそういえるかも。こじつけにも聞こえるけどね。
セミオ
セミオ
ママ、ボクの溢れる感情を受け止めて
ママ
ママ
ごめんね、スミオちゃん、+、-を逆にさせてもらうわ。
セミオ
セミオ
うわー、ボクの心行き場所がない!助けて!
ママ
ママ
一人でやってなさい、今日はもう店閉めるから。
セミオ
セミオ
ママ、そりゃないよ。

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    半導体材料のメーカーで長年仕事をしてきました。材料メーカーなので半導体について多くの詳細を知っているわけではありませんがその分七面倒くさい言い方ではなくわかりやすく伝えられると考えています。 もし、お時間と興味があれば、読んでみて下さい。

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