光る半導体あれこれ
レーザーとは?
レーザーという言葉は皆さんご存知だとは思いますが、多くの人がレーザーとはどんなものだか、説明できる人は少ないのではないでしょうか。
レーザーが誕生したのは、1960年のことで、アメリカのメイマン氏がルビーを使ったレーザーを出すことに成功しました。また、レーザーという名称は、1957年にすでにやはりアメリカのゴードン氏が提唱しています。
レーザーとは、英語でLASERと書きLight-Amplificatin by Stimulated Emission of Radiationの頭文字をとっています。直訳すると、「光の誘導放出による光増幅」といった感じです。
レーザーは、普通の光と違います。普通の光は広がりますが、レーザーは広がらずに伸びます。会議などで使うレーザーポインタもレーザーを使用しています。普通の光はいくつもの色の光が混じっていますが、レーザーは1色です。
その他にレーザーには、光の波の山同志と谷同志がきちんと重なるという特徴を持っています。
レーザーができるには?
光の誘導放出とは、物質が光の影響によって光を出すことです。もっと言うと光をあてることによってさらに光を出す、と言えます。結果的に、あてた光と誘導放出によって倍の光がでることになります。
「光を放つ半導体」でお話したとおり、電子が正孔に再結合したときに光ります。参考:光を放つ半導体
これに対して誘導放出のイメージは以下のようになります。
上記2つの違いは、自然に起きたのか、光によっておきたのかの違いです。このように外から力を加えてエネルギーを高い状態にすることを反転分布状態といいます。そして一度発光してから連続して誘導放出が起きると、次々に光が増幅していきます。これをレーザー発振といいます。
この状態にしていくのに、鏡を使います。最初に発した光を鏡にあてて反射させ、その光が隣の電子や正孔に影響を与え、元いた正孔に戻って光を発し鏡から反射した光と一緒になって増加する、といったプロセスが展開されます。何度も繰り返されて発振という状態になり、レーザーとなります。
発光ダイオードと半導体レーザーの違いは?
共振器とは?
ここまで見てきたらおわかりいただけるように、発光ダイオードと半導体レーザーの大きな違いは、共振器があるかないかです。
共振器とは、文字通り共振を起こすための装置です。レーザーのような光の他に音にも使われています。(音楽の場合は共鳴といいます。)
例えば音叉という楽器があります。この音叉をたたいて振動を起こして、違う音叉を近づけるとその音叉も振動を始めます。このように、力を加えなくても振動を起こす現象を共振(共鳴)といいます。
光の共振には、先ほどお話したように鏡を使いますが、向い合せて使います。鏡の間を光が何往復もするので、結果的にレーザーの特徴である波の山谷がきちんと重なった状態になります。しかし、このままでは、何度も往復しているうちに光は弱くなってきます。
半導体が光るのは、電子が穴に落ちた時です。落ちるのは自然に起きますが、少し時間がかかります。そこで、光を出すところに光や電子などのエネルギーを与えていきます。そうすることで、光を出し続けます。
その時にちょっと面白い現象が起きます。となりの原子が光を出したら自分もすぐに光を出す、という現象が起きるのです。となりから出た光に誘われて自分も光を出します。これを繰り返すうちにだんだんと光が強くなってきます。
そして光のエネルギーがある程度強くなった時に外に光を出すような仕組みを作っておくとレーザーが外部へ出ます。(具体的には、片側の鏡の光の透過率を数パーセント程度にしておきます。透過率とは、光が100照射された場合何パーセントが通り抜けるか、という事です。)
レーザーのキーワードは共振です
共振という現象ですが、なんだか人の世界でもありそうですよね。よく会議などをしていると、ある人の意見が伝染することってありませんか?
あれもひょっとしたら、人の考えが波のように流れていき人の頭に入っていくのではないでしょうか。
カリスマの演説などもそうです。かつてヒットラーがドイツを席巻したときなぜあの聡明で勤勉なドイツ人が・・と思ったことがあります。
ヒットラーの演説はレーザーのように共振をおこし、人々の心を1方向に向けることができたのかもしれません。
さて、ママは何を知りたかったのでしょうか。きっと次回には明らかになります。
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