ウェハー洗浄の種類
前回は、ウェハー洗浄の基本を紹介してきました。ウェハー洗浄の技術はデバイスとの関係が重要であることは、今までの内容で理解いただけたと思います。
ウェハー洗浄を行う前には、洗浄しなければならないウェハーの表面状態が正確に把握する必要があります。
例えばその下地がSIO2なのか、あるいはALなのか、シリコンなのか・・・。腐食させる薬液を使用してしまっては元も子もありません。以下に膜の材質とそれに使用する溶液の種類の表の一例を示します。
膜材質 | 洗浄薬液 |
---|---|
自然酸化膜(SIO2) | 酸洗浄(BHFなど) |
シリコン(ポリシリコン) | HF/HNO3、 |
レジスト残滓 | アルカリ洗浄、有機溶剤 |
金属 | 酸洗浄(SPM、HPM、DHF、HNO3) |
有機物 | 酸洗浄(H2SO4/O3) |
パーティクル | アルカリ洗浄(APM) |
洗浄薬液→BHF・・・バッファードフッ酸、HF・・・フッ酸、HNO3・・・硝酸、 SPM・・・硫酸+過酸化水素水+純水、HPM・・・塩酸+過酸化水素水+純水、 DHF・・フッ酸+純水、H2SO4・・・硫酸、O3・・・オゾン水 APM・・・アンモニア+過酸化水素水+純水
各薬液についての詳細はこちらのサイトをご覧ください。(参照:半導体製造には危険がいっぱい)
上記の表を工程ごとに置き換えてみると
洗浄工程の種類 | シリコンウェハーの状態 |
---|---|
初期洗浄 | シリコン表面に自然酸化膜 |
酸化前洗浄 | シリコン表面に自然酸化膜 |
エピタキシャル前 | シリコン表面に自然酸化膜 |
CVD前処理 | 各種の膜が共存在する(ポリシリコン、酸化膜、ALパターンなど) |
スパッタ前処理 | シリコン上のSIO2膜など |
ドライエッチング後処理 | 副生成物、ダメージ、残渣が共存する表面 |
アッシング後処理 | 副生成物、ダメージ、残渣が共存する表面 |
CMP後処理 | 表面に付着しているスラリー(研磨剤)および研磨層の細かいゴミ |
*アッシング、CMPは別の機会に紹介します。
ざっと見るだけでも、この表のような違いがあります。
ウェハー洗浄のこれから
シリコンウェハーは現在300㎜が主流の大口径の時代です。それに伴い、品質が格段にあがりました。シリコンウェハーの製造方法も、バッチ式と呼ばれる一度のプロセスで多くのウェハーを処理する考え方から、枚葉式といって一枚ずつ処理をしていく方法に切り替わっています。
それは、スループット(単位時間当たりの生産枚数)から見ると、明らかにマイナスの要素です。しかし、品質の向上度合いは数世の間を隔てたくらい差があります。そのため、ある程度の生産性を犠牲にしても有る恩恵があるのです。
しかし、ウェハー洗浄の世界は、枚葉式というわけには簡単にはいかないようです。洗浄工程の改善には他の工程とは全く違う発想が必要なのかもしれません。
例えば、他の工程と一緒にする、あるいは、ウェハー洗浄と同じ効果が見込まれる技術を加工直後のベアなウェハーに施すことによって、ウェハー洗浄をしなくて済むようにする、などです。
事実、エピタキシャル成長後のウェハーに、オゾンによる酸化膜をつけて洗浄工程を省く技術も採用されているのです。
まとめ
つまるところ、洗浄と同じように、女の子もまた、その状態によって対応を変化させなければならない、ということのようです・・・。当たり前の結論ですね。
しかも洗浄工程と同じように新たな技術を開発せねば、振られるかもしれない、なんて恐ろしいのでしょう。女性側にも努力はしてほしいですが・・・。
と言ってセミオ君の方を指差します。
ミツオ君は半導体製造プロセスの中心と言われる技術部門のそのまた中心にいるのです。それゆえか、どうしても人を軽く見る傾向があります。セミオ君はすぐ調子に乗るお調子者ですが、注意されればそれを守ろうとする気持ちはあるようです。その横でちょっと得意げなセミオ君。それを見てママは
せっかく少し褒められて喜んでいたのに、がっかりのセミオ君です。
そして洗浄という言葉、それは、汚れたものを綺麗にする、とても大事なことなのに、人はどうしてもそれを軽んじてしまう・・・それをママは言いたかったのです。例えば、掃除と言えば女の仕事と決めつけたり、やってみれば大変だし、突き詰めればそれも難しいことがいっぱいあるのに、特に最先端のことをやっている人たちにはかるくみられてしまう、それが嫌なのではないでしょうか。ママはミツオ君にそれをわかってほしかったようです。
でも女って結局面倒くさいのでは・・・と思うセミオ君でした。
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