シリコンウェハーが様々な方法で半導体の元になっていく、つまり条件次第で電気を通したり、通さなかったりということをママは実感していました。
でも前回ママはもうわかった気になっていたので、半導体ウェハーにはまだ秘密があるのではないか、と考えていました。
ママは何を息がっているのでしょう。とにかくこれをセミオ君が聞いたら大喜びですね。
やっぱりママは浮気者かもしれません。
改めて結晶について~エピタキシャル
「カラン、コロン」
前回までシリコンウェハーに不純物を入れる方法を二種類紹介してきました。確かにこれらの方法で半導体デバイスは作られています。
ところが熱拡散やイオン注入では低い抵抗領域(不純物が多い領域)中に高い抵抗領域(不純物の少ない領域)を作り込むのはとても難しいのです。
それを可能にしたのがこれから紹介するエピタキシャル工程です
エピタキシャルとは
エピタキシャルとは、「上に」という意味のEPIと「配列、順序」という意味のTAXISの合成語です。一般にエピ成長と呼んでいます。
エピ成長とは基盤(元のシリコンウェハー)の結晶方位に倣って結晶成長が起こることです。結晶方位について説明していきますが、その前にもう一度結晶について考えてみましょう
結晶とは
ここで簡単に結晶方位について説明しておきましょう。結晶については以前に紹介していますが、ここでもう一度別の見方で説明します。(参照:半導体の素)
結晶内で分子や原子などの構造を表すものを結晶格子といい、その最小単位を単位格子と言います。つまり、結晶とは単位格子の集まりとも言えます。
単位格子には体心立法格子とか、面心立法格子とかあってそれらはすべて原子の面が集まってできています。
上図は面心立法格子の構造です。二つを合わせてひとつになっているようですが、これは説明上のためです。一番右が面心立法格子の構造です。つまり、面心立法格子は半分の原子が6個、八分の一の原子が八個はあるので、原子数は4個ということになります。
半分の原子がそれぞれの面に配置され、八分の一原子は格子の角の部分に配置されます。
シリコンの場合はこれが少しずれて二つ重なった状態なので原子数は8個ということになります。面心立法格子が二つ重なった状態がシリコンの単位格子(単位胞ともいいます)です。
結晶方位とは
先ほど説明した単位格子は原子で作られた面でできており、この面のことを結晶面と言います。この面に対して垂直な方向を結晶方位といっています。
例として簡単な立法格子で説明します。
上図はa,b,c軸に格子を当てはめた図です。それぞれの軸にめもり1のところでちょうど立方体がはまっています。これを単位格子と考えます。
今結晶面を(111)とすると、オレンジの部分はミラー指数という表示方式で(111)で表されます。ミラー指数とは、結晶の面と方向を表すためのもので、座標軸と面が交わる原点からの距離の逆数を整数にして、当てはめて表します。
結晶方位は面のとは垂直な方向なので上図の赤矢印の方向になる、というわけです。結晶方位は角かっこで[111]と表します。
シリコンウェハーは、ほぼCZ法(参照:半導体 シリコンへの道)で作られていますから結晶方位は[100]か、[111]となります。
エピタキシャルの種類
エピタキシャルの成長方法は三相すべてで行われます。三相とは物体の気体、液体、固体のことです。
これからお話していくのは全て気体でのエピタキシャル成長のお話です。
このように気体で成長させることを気相成長といい、半導体のように化学的に行うと気相化学成長といいます。英語ではChemical Vapour Depositionといい、頭文字をとってCVD法と言われます。
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[…] この二つの言葉は遺伝子の話をするときにも使われますし、もちろん半導体の場合にも使われるのです。ホモエピタキシャルとは、前回お話したとおり、元の結晶と同じ結晶方位に倣って成長していく結晶成長をいいます。(参照:半導体 シリコンウェハーの作り方4-1) […]
[…] ’錐’の形は結晶方位によって変わります。たとえば方位が(1,0,0)の場合は四角錐、(1,1,1)の場合は三角錐です。(参照:半導体 エピタキシャル結晶成長とは~シリコンウェハーの作り方)発生原因は様々で、汚染、異物、あるいはプライムウェハーの機械的なゆがみの可能性もあります。 […]