前回のお話まででシリコンウェハーがほぼ出来上がりました。また、ここまででできたウェハーをPWと呼ぶことがあります。Prime Waferの頭文字をとっています。
しかし、生産されたすべてのウェハーがそのまま半導体になっていくわけではありません。半導体が要求するスペックは多種多様で、CZ法でできた結晶にはない特性を必要とするものもあります。(参照:シリコンへの道)
ママはすっかりこれでシリコンウェハーは完成、と考えているようです。
ママはニコニコしながら、開店準備をしています。
さらなる進化を遂げていくウェハー
「カラン、コロン」
お客さんが来たようです。
ママの表情には大きな余裕が感じられます。
不純物を添加していく方法
スライスウェハーの状態ですでにシリコン内に不純物が添加されていることは紹介した通りです。しかし、今の半導体はそんなに単純ではありません。
ここからは精密不純物添加方法について紹介していきます。
基本的には、方法はおおざっぱに2種類あります。
ひとつはシリコン結晶形成時に同時に添加する方法です。もう一つは結晶ができたあとに外部から添付する方法です。
今回紹介していくのは、結晶ができたあとに外部から添付する方法のひとつである熱拡散という方法です。
不純物の拡散方法とは
スライスされたウェハーは単結晶を作る際に混ぜられた不純物のみで抵抗率が決まります。(参照:シリコンへの道)
それでは不十分な場合があるので、さらに加工する必要があります。その一つにウェハーの表面に不純物を拡散させる方法があります。
しかし、良きにつけ悪しきにつけ、シリコンウェハーは固いので簡単に不純物をしみこませることはできません。そこで長い時間をかけて不純物をしみこませる工程があります。
上の図は拡散炉といわれるものの例です。拡散とは英語でdiffusionですので不純物を拡散されたウェハーをDeffused Wafer(ディフューズド ウェハー)といいます。
まず、最初に低温で不純物を大量に含んだものを半導体表面に成長させます。これをプレデポジションといいます。
その後、1250℃くらいに炉内温度を上げて数日おいておきます。これをドライブイン拡散といいます。そうするとウェハーの中に不純物がだんだんとしみこんでいき不純物がウェハーをサンドイッチのように挟み込みます。
この時に使用する不純物はリンとかホウ素といったものです。リンとホウ素が半導体どう関係があるかは以前に紹介した半導体にも積極的、消極的がある?を確認ください。
サンドイッチのように挟み込まれたウェハーの両面の一方を削り取ります。これをハーフオフといいます。一般にダイオードやトランジスタは不純物を拡散していない方に作ります。不純物を拡散した方は電極として使われます。
この方法は表面不純物の低濃度のコントロールに関しても優れていますが、近年の半導体の精度化からいうと少し物足りないところがあります。というのは使用した不純物のモニターを定量的にできないという弱みがあるからです。
それを改善するためにイオン注入という方法がとられます。その内容はかなり複雑なので次回に紹介します。
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[…] 前回のエピタキシャルの品質の際に「パータン」の品質問題を取り上げました。今回は「パターン」を作る工程について紹介していきます。以前に紹介した内容も一部含まれますが、復習だと思ってお付き合いください。(参照:半導体 ウェハーの作り方3.1 熱拡散、半導体 ウェハーの作り方3-2 イオン注入) […]