飲み屋でうける半導体の話
半導体と人生をリンクさせてみよう
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半導体 ウェハーの作り方2 研磨

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さて、前回のお話でミツオ君が何かをママと彼女のミチコちゃんに相談があるとのこと。

はたしてどんな内容なのか、ママは少し気になってました。

ママ
ママ
ミツオちゃん、どうしたのかしらねぇ~。彼女との将来の話なら、私には相談なんてしないはずだし・・

ママは少しおせっかいなところもありますから、気になっています。

ママ
ママ
まさか、とは思うけど、あのことかしら・・。若い子にはありがちだから

ママには心当たりがありそうです。

「カラン、コロン」

開店前なのにまた誰かやってきたようです。

ミツオ
ミツオ
こんばんわ、ママ。なんだか疲れちゃった・・
ママ
ママ
どうしたの?
ミツオ
ミツオ
心が削られていくような気がする・・
ママ
ママ
削られるねぇ・・。まあ話を聞いてあげるわよ
ミツオ
ミツオ
ママ、ありがとう

削られ、とんがりがなくなっていくウェハー

ミツオ君は自信家なのでどうやらとんがったところがあるようです。そこをかなり責められたのでしょう。

ミツオ
ミツオ
実はね、ウェハーのエッチの工程ってのがあって、そこでのghtトラブルで納品が遅れてしまって。僕がお客さんに謝ったんだけど、ひどい言われようでね・・。
ママ
ママ
仕事ってそゆうもんでしょ?ここにだってひどいこと言いに来るお客さんはいるわ
ミツオ
ミツオ
そうなんだろうけど・・でもやっぱり落ち込むよ・・
ママ
ママ
仕方ないわね。でもしんなことでへこたれちゃだめよ。今日はごちそうしてあげるわ。その代わり、そのエッチの工程について教えてちょうだい
ミツオ
ミツオ
いいけど・・
ママ
ママ
ぐだぐだ言わずに、とっととやりなさい!

そもそもエッチの工程とはいったいどうゆうことなのでしょうか?エッチとはいやらしいことではありません。エッチングを略してエッチといいます。エッチングとは英語でEtchingと書きます。

もともとは印刷技術の一つで必要な部分を腐食させて凹版にする技術のことです。ガラス工芸にも使用されてきました。

エッチングの技術は今回紹介する、「ウェハーの表面をゆがみをとる」という以外にも幅広く半導体製造には使われます。それはその機会に紹介していきます。

さて上の図で最初の青の上下に赤い状態のものが乗っていますが、これが、スライスやラップといった工程で傷んでいる部分です。見た目には問題なさそうなスライスウェハーでも表層部では不具合がでており、これでは半導体を作ることができません。(参照:シリコンウェハーの作り方1 切削)

ですから、その部分を酸を使用して溶かしていまうという作業を行うのです。酸の種類としては、様々ですが、例としてフッ酸ー硝酸ー希釈酢酸の組み合わせなどが使われます。

この時点でのウェハーのことをエッチドウェハー(HW)とよびます。ほとんどエッチドウェハーは次の工程に進みますが、たまにお客様でこの段階のウェハーが欲しいという場合があります。

ママ
ママ
それで何が起きたの?
ミツオ
ミツオ
薬液の濃度を間違ってしまって、ウェハーを削りすぎたんだ。だから納品が遅れてね・・
ママ
ママ
だったらこちらが全面的に悪いいじゃない。たとえそれがミツオちゃんのせいでなくても会社の代表なんだから仕方ないでしょ
ミツオ
ミツオ
だって、まるで人間扱いじゃなんだよ。
ママ
ママ
お客さんてそんなもんよ。自信家のミツオちゃんがそんな弱虫だったとはね。
ミツオ
ミツオ
ひどいな、ママまでそんなこと言うなんて・・
ママ
ママ
だから転職する、とでもいうの?
ミツオ
ミツオ
ママ、どうしてそれを?

光輝くために

ミツオ君のところでは失敗したようですが、エッチの工程が完了すると次はポリッシングという工程に入っていきます。ポリッシュとは英語でPolish、すなわち研磨という意味です。ここでできたウェハーをポリッシュドウェハーといいます

研磨されて鏡のようにピカピカになります。

セラミックのプレートにエッチドウェハーを複数枚貼り付けて、回転する平らな円盤の上に載せます。これを研磨盤といいます。研磨盤には研磨するための研磨布(研磨パッドともいいます)がついており、ウェハーと布の間に研磨液を注入しながら磨きます。

上図はウェハーの片面の研磨の例ですが、両面を行う方法もあります。

磨き方法は結局のところ、こすり合わせです。しかし、イメージいただければお分かりのように、こすり合わせて磨きながら、ほとんどゆがみのない状態に仕上げるのですから、そこには様々なノウハウが詰め込まれています。

ポリッシュドウェハーはこのあと洗浄して検査を行ってお客様へ納品されます。この時にはキズや欠けはもちろんのこと、平坦であることや鉄などの金属がないことを確認します。

一部は付加価値を高めるためにさらに加工していきます。

ママは独り言のようにつぶやきます。

ママ
ママ
やっぱり、磨かれるためにはとんがった部分とか、歪んだ部分をこすり合わせるのね~。人間もきっと同じよね~
ミツオ
ミツオ
まさか、僕も削られた方がいいってこと?・・・
ママ
ママ
ミツオちゃんはまだまだとがった部分が多いから心をけずられるのよ。でもね、それは若くで可能性があるってことと同じだと思うわ

まとめ

さて、ウェハーは輝くためには磨く、という工程が必要なことがわかりました。そしてその方法はこすり合わせていくことです。

ママがいうように人もまた世の中に出ていく、あるいは他人の役に立つためにはこすりあわされるように磨かれなければならないのかもしれません。

ちょうど今ミツオ君はその分岐点にいるようです。

ママ
ママ
ミツオちゃんのことだからどこにいっても大丈夫だとは思うわ。こんなことわかっているだろうけど、そんな気持ちで転職しても絶対にうまくいかないわよ。
ミツオ
ミツオ
うーん
ママ
ママ
ミツオちゃんの人生なんだから、私なんかにとやかく言うことはできないけど。でも次は今よりいい、なんてことは絶対にない、ってことだけはわかってね。
ミツオ
ミツオ
うん
ママ
ママ
それと逃げちゃダメよ。心を削られてると思うなら、もっと磨いて誰よりも輝いてやるって気持ちも必要だわ。ミツオちゃんならきっとできるわ
ミツオ
ミツオ
ありがとう。ママ

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    半導体材料のメーカーで長年仕事をしてきました。材料メーカーなので半導体について多くの詳細を知っているわけではありませんがその分七面倒くさい言い方ではなくわかりやすく伝えられると考えています。 もし、お時間と興味があれば、読んでみて下さい。

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