さて、前回のお話でミツオ君が何かをママと彼女のミチコちゃんに相談があるとのこと。
はたしてどんな内容なのか、ママは少し気になってました。
ママは少しおせっかいなところもありますから、気になっています。
ママには心当たりがありそうです。
「カラン、コロン」
開店前なのにまた誰かやってきたようです。
削られ、とんがりがなくなっていくウェハー
ミツオ君は自信家なのでどうやらとんがったところがあるようです。そこをかなり責められたのでしょう。
そもそもエッチの工程とはいったいどうゆうことなのでしょうか?エッチとはいやらしいことではありません。エッチングを略してエッチといいます。エッチングとは英語でEtchingと書きます。
もともとは印刷技術の一つで必要な部分を腐食させて凹版にする技術のことです。ガラス工芸にも使用されてきました。
エッチングの技術は今回紹介する、「ウェハーの表面をゆがみをとる」という以外にも幅広く半導体製造には使われます。それはその機会に紹介していきます。
さて上の図で最初の青の上下に赤い状態のものが乗っていますが、これが、スライスやラップといった工程で傷んでいる部分です。見た目には問題なさそうなスライスウェハーでも表層部では不具合がでており、これでは半導体を作ることができません。(参照:シリコンウェハーの作り方1 切削)
ですから、その部分を酸を使用して溶かしていまうという作業を行うのです。酸の種類としては、様々ですが、例としてフッ酸ー硝酸ー希釈酢酸の組み合わせなどが使われます。
この時点でのウェハーのことをエッチドウェハー(HW)とよびます。ほとんどエッチドウェハーは次の工程に進みますが、たまにお客様でこの段階のウェハーが欲しいという場合があります。
光輝くために
ミツオ君のところでは失敗したようですが、エッチの工程が完了すると次はポリッシングという工程に入っていきます。ポリッシュとは英語でPolish、すなわち研磨という意味です。ここでできたウェハーをポリッシュドウェハーといいます。
研磨されて鏡のようにピカピカになります。
セラミックのプレートにエッチドウェハーを複数枚貼り付けて、回転する平らな円盤の上に載せます。これを研磨盤といいます。研磨盤には研磨するための研磨布(研磨パッドともいいます)がついており、ウェハーと布の間に研磨液を注入しながら磨きます。
上図はウェハーの片面の研磨の例ですが、両面を行う方法もあります。
磨き方法は結局のところ、こすり合わせです。しかし、イメージいただければお分かりのように、こすり合わせて磨きながら、ほとんどゆがみのない状態に仕上げるのですから、そこには様々なノウハウが詰め込まれています。
ポリッシュドウェハーはこのあと洗浄して検査を行ってお客様へ納品されます。この時にはキズや欠けはもちろんのこと、平坦であることや鉄などの金属がないことを確認します。
一部は付加価値を高めるためにさらに加工していきます。
ママは独り言のようにつぶやきます。
まとめ
さて、ウェハーは輝くためには磨く、という工程が必要なことがわかりました。そしてその方法はこすり合わせていくことです。
ママがいうように人もまた世の中に出ていく、あるいは他人の役に立つためにはこすりあわされるように磨かれなければならないのかもしれません。
ちょうど今ミツオ君はその分岐点にいるようです。
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