飲み屋でうける半導体の話
半導体と人生をリンクさせてみよう
電気 PR

半導体 記憶の話再び・・・MOSについて

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

ママは前回の話でとても複雑なDRAMの話が少しだけ理解できたようです。そしてDRAMは日本の技術者によって大きな変革をもたらしたことがとても誇らしかったようです。

ママ
ママ
ミツオちゃん、次にはアンプセンスだとかいうものについて説明してくれる、って言っていたけど、これも面白そうだわ。確か、DRAMの信号を見張ってるとかなんとか・・・

理系音痴立ったママが随分と積極的になったものです。ママはミツオ君がくるのが待ち遠しいようですね。果たして今日はミツオ君くるのか、それともセミオ君がくるのか。セミオ君が来たら、ママどうするんでしょうね。

MOSについて

「カラン、コロン」

誰かやってきました。果たして

セミオ
セミオ
ママ、おはよう!

元気なセミオ君でした。ママは少しがっかりして

ママ
ママ
あら、セミオちゃん、おはよう
セミオ
セミオ
えっ、なに。ママ、なんか元気ないよ
ママ
ママ
そ、そんなことないわよ。ところで、今日はミツオちゃんはどうしたの?
セミオ
セミオ
さあ、わかんないよ。なんでそんなこと気にするのさ

セミオ君少しふくれています。それはそうでしょう。

ママ
ママ
うーん困ったわ・・・。ミツオちゃん早く来ないかしらね~

その時、

ミツオ
ミツオ
ママ、こんばんわ。約束どおりに来たよ
セミオ
セミオ
な、なんだ、約束って

すかさずセミオ君が反応します。

ミツオ
ミツオ
約束は約束さ、それ以上でもそれ以下でもない
ママ
ママ
待ってたわよ、ミツオちゃん、さあ早速お願いするわ
ミツオ
ミツオ
オッケー、ママの仰せのままに
セミオ
セミオ
な、なんだ、俺をのけ者にして
ミツオ
ミツオ
ママ、でも今日はセンスアンプは言葉に触れるだけにして、それを理解するためのMOSについて話すよ
ママ
ママ
わかったわ。そんなに簡単じゃないってことね

「センスアンプ」なんとなく聞き覚えのある言葉ではないでしょうか。センスという言葉はよくあの人はセンスがいいとか言いますし、オーディオでアンプを使うことも多いかと思います。

改めて説明すると、センスとは日本語で「感覚」の意味です。感度とも解釈されます。アンプは「増幅」です。つまり感じ取ったものを増幅するのがセンスアンプです。

もう何となくわかった人も多いでしょう。つまり、DRAMのキャパシタから出てきた電気の量はとても小さいので増幅して、出力するのがセンスアンプの仕事です。

ここで、あれっと思った方もいるかもしれません。センスが感覚なら、違うんじゃないの、と。実は、センスアンプのセンスは「センシング」のことです。センスのING形で、SENSINGと書きます。これを日本語で「センサー機能」です。

それを知るためには、どうしてもこれから紹介するMOSについて知っていなければなりません。

NMOS、PMOSについて

センスアンプのお話をする前に基本的なことを覚えておきましょう。まずは、MOSの二つの形について紹介していきます。デジタル回路のことを紹介する機会もあると思うので、それにも役に立つ基礎事項です。

NMOSとは

NMOSに関しては以前紹介しています。(参照:ユニポーラトランジスタ)ですが、軽く復習しておきましょう。

NMOSは、P型のシリコン上にN型の拡散層を二つつくり、その間に少しだけ隙間を開けた構造をしています。図の状態でゲートに電圧が与えられなければ、ドレインとソース間に電流は通りません。

この場合、P型シリコンなのでホールはたくさんあるのですが、電子はほとんどありません。そのため、多少不純物を入れて、少しだけ電子がある状態にしておきます。

ホールと電子のことをキャリアといいますが、NMOSの場合、少数は電子なのでこの場合の電子をマイナーキャリアと呼びます

ここでゲートに電圧をかけると電界効果で、P型シリコンの中の少量の電子が引き寄せられ、ドレインとソース間に電流が流れます。N型拡散層の間がP型シリコンにもかかわらず、N型になるのでこの部分を反転層といいます。(参照:ユニポーラトランジスタ

この状態をMOSが「ON」の状態といいます。

回路記号も以下に示します。

PMOSとは

上記のNMOSとは全く逆で、N型シリコン上にP型拡散層を作り込んでドレイン側にアースをつなぎ、ソース側に電源をつなぎます。

また、N型シリコンに電源レベルの電圧をかけておきます。N型シリコンの方に先ほどは逆にマイナーキャリアのホールを作っておきます。ゲートにN型シリコンと同じ電圧をかけた場合、ドレイン、ソース間には電流は流れません。これが「OFF」の状態です。

ゲート側の電圧をゼロに近づけると、N型シリコンには電源がつながっているので、ゲートの電位はマイナス側に触れたことになります。マイナス側ですから少数キャリアのホールがP型拡散層の間に集まり、先ほどと同様、拡散層間に反転層ができ、ドレインとソースがつながります。

この状態が「ON」です。つまりPMOSの場合はゲートの電圧が低いとONになる、ということです。

先ほどのNMOSとの違いは矢印の向きです。BASEを向いているのがP型です。

CMOSとは

上の二つのタイプのMOSを応用したものにCMOSというのがあります。CMOSのCはComplementarayのCで、補完性という意味です。ですからCMOSは日本語では補完性MOSと呼ばれています。

ですから、CMOSとは、一つのMOSのことではなく、PMOSとNMOSが回路を作ることによってできます。

CMOSの回路を見てみます。最も単純なNOT回路です。

上図はインバータと呼ばれる回路です。Invertが「反転」の意味ですから、Inverterは「反転する人」という意味になります。実際には逆にすることと、とらえられています。

上図の場合で言えば、Aに電気が流れた場合、上のPMOSは動作せず、下のNMOSは動作します。つまり、Vddの電圧は、Bには伝わりません。つまり、入力に対して逆の信号がでます。これがインバータです。

もうひとつトランスミッションゲートというものも紹介しておきます。これは上記の相補的な役割とは全く逆な動きをします。

この回路は、NMOSが「ON」であれば、PMOSも「ON」、NMOSが「OFF」であれば、PMOSも「OFF」です。「ON」であれば、A=Bとなり「OFF」であればAとBは切り離された状態になります。

ちなみにEの上にバーがありますがこれは反転の意味です。

ママ
ママ
それで、これらがセンスアンプに関係あるってことね?
ミツオ
ミツオ
うん。とりあえず、今日はここまででいいかな?

 

ママ
ママ
仕方ないわね。許してあげるわ
セミオ
セミオ
ママ、僕の立場は・・・

お問い合わせ






    ABOUT ME
    RUNNER
    半導体材料のメーカーで長年仕事をしてきました。材料メーカーなので半導体について多くの詳細を知っているわけではありませんがその分七面倒くさい言い方ではなくわかりやすく伝えられると考えています。 もし、お時間と興味があれば、読んでみて下さい。

    COMMENT

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です