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半導体 アナログ回路とは その1

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さて、前回はセンスアンプについての紹介でしたが、ママはまだどうもしっくりとは来ていないようです。

ママ
ママ
どうもなんかだまされてるような気がするわ。ミツオちゃん口がうまいからな~。そういえば、アナログとデジタルの違いも何となくあやふやだし・・・

ママはいいところに気づいたのかもしれません。実は電子回路は連続的に変化するアナログと0、1だけを扱うデジタルに大別されるのです。

ママ
ママ
よし、今日は徹底的にアナログについて聞いてやるわ

そうつぶやくとママは、さっそく開店の準備にとりかかり始めました。

ママ
ママ
さてと今日のお通しは何にしようかしら。そうだ、切り干し大根の煮物にしよう。確か、あったはずだけど・・・

ママはごそごそと棚を探し始めましたが、お目当ての物は見つからないようです。

ママ
ママ
ないわ。もう困ったこと

ママははっと気づいたようでした。

ママ
ママ
これがデジタルでいうところの0なのかな?とするとアナログというのは・・・そうか

ママは再び棚を探し始め、したり顔でつぶやきます。

ママ
ママ
これがアナログってことね

ママの手には半分になった玉ねぎが握られています。ちょっと違う気もしますが、それでわかったと思うならとりあえずよしとしましょう。

ちょうどその時、ミツオ君がやってきました。

ミツオ
ミツオ
やあ、ママ。
ママ
ママ
いらっしゃい、ミツオちゃん。今日はアナログについて聞かせて頂戴
ミツオ
ミツオ
ママ、どうしたの、一体?
ママ
ママ
前回の話、今一つだったのよ。だからアナログの基礎を知りたいの
ミツオ
ミツオ
うん、わかった。それじゃまずデジタルとアナログの違いからね

アナログとデジタル

皆さんは理解はしていると思いますが、念のためにアナログとデジタルについてもう一度確認しておきましょう。

アナログとは情報を連続的な量として扱うこと。そういう仕方の情報処理方法

Oxford Languages より

つまり、文字盤付きの時計などがその例になります。絵画なども情報としてみる場合はアナログといえるでしょう。特徴は、全体として見ることができる、感覚的に情報を理解できる、などが言われています。

弱点としては、線引きがあいまいである、人によって感じ方が変わってしまう、などがあり、情報を統一化するのは難しいということが挙げられます。

これに対し、デジタルとは

情報をとびとびの値による符号にして表すこと。そういう仕方の情報処理方式。

Oxford Languages より

時計で言うと秒刻みで表示されるものですね。一秒と一秒の間には、必ず0.1秒やさらに細かい時間の進みがありますから、とびとびの数字が時計に表示されているということになります。

しかし、アナログと違ってそれをどんどん細かくしていき、より精度の高いデータに変換していくことができます。例えば、音楽や絵画の鑑賞で、コンサートや展覧会で見るのはアナログ、それをテレビなどから見るのはデジタルということでしょうか。

デジタルがアナログに対して優れているのは、それをより正確な情報として残す、送るなどができるということです。

そして半導体を使用した電子回路の世界にはアナログ回路とデジタル回路があります。アナログ回路は連続的に変化する信号を増幅したり、減少させたりする回路のことです。これに対しデジタル回路は0と1だけを使用している回路のことです。

ここからはアナログ回路の最初、まずはトランジスタの増幅について紹介していきます。

トランジスタの増幅回路

以前も紹介しましたが、トランジスタの機能の一つには増幅があります。(参照:半導体 トランジスタの誕生

増幅とは信号を大きくすることです。英語ではAmplificationと書きます。一般にアンプと呼ばれています。以前に紹介したDRAMの信号を増幅する機能をセンスアンプと言いました(参照:半導体 DRAMセンスアンプ)が、あれも増幅してました。

増幅とは

アナログ回路における増幅とは、電源から供給される電気を小さい信号でコントロールして大きく出力するのが増幅です。また、増幅回路を理解するためにはどうしても必要な言葉の知識が必要になります。

まず、それらを順に紹介していきます。

トランジスタの増幅回路で基本的なものはエミッタ接地と呼ばれるトランジスタの使い方です。エミッタ接地とはエミッタが文字通り接地(アースにつながっている状態)していることを言います。

アースとは大地のことで、大地につなぐことで電気設備を使用時に大地側へ電気を流すことで安全にする、という、目的で行われます。また、通常大地の電位を基準とするため、大地以外を電位の基準とする場合にも接地という言葉をつかいことがあります。

以下にエミッタ接地の増幅回路の例を示します。

上図ではベースに流れるベース電流(IB)が増幅されてコレクタ電流(Icになっています。この時の倍率をhfeで表し、電流増幅率と言い、トランジスタの重要なスペックとなっています。(参照:半導体 トランジスタの誕生

増幅回路とは

増幅回路とは、模式的に表示すると、以下のような形です。

回路内に電気を通して、出てきたものがそれよりも大きくなっている、それが増幅回路です。大きくなるのは電流や電圧です。増幅回路は先ほど紹介したトランジスタを一個使用する単純なものから、多くのトランジスタや多種の素子を使用するものがあります。

入力として増幅回路に流れた電流(Ii)、かけられた電圧(Vi)が出力電流(Io)や出力電圧(Ⅴo)になることをいいます。また、上図における下側の入出力線は、回路内で共通になっていることが多く、共通帰線と呼んでます。

増幅回路の特性を上図の記号から表すことができます。増幅されて大きくなることを利得といい、電流利得はAi=Io/Ii、電圧利得はAv=Vo/Vi(電流、電圧それぞれが入力に対して何倍になるか)で表されます。

バイアスとは

トランジスタを用いて増幅回路を作動させるためには、まずはトランジスタに直流の電圧と電流をかけておかねばなりません。この直流の電圧、電流をバイアスと言います。

バイアスとは英語で書くとBiasでもともとの意味は先入観とか、偏りといった意味です。時々ニュースでも使われることがありますね。実はこのバイアスという言葉は以前も紹介していますが、今回のバイアスとは少しニュアンスが違うかもしれません。

トランジスタやダイオードに電気を流す場合に順方向バイアスとか、逆方向バイアスで登場しています。(参照:半導体 トランジスタの誕生)この場合のバイアスという名前、各キャリアがどちらかに偏くということでついた名前かもしれません。

話を元に戻して、トランジスタを動かすためのバイアスはどうして必要なのか、ということを紹介していきます。

トランジスタの働きで「増幅」の他に「スイッチ」という考え方がありました。(参照:半導体 トランジスタの誕生)ベースにある一定の電圧をかけると、エミッタとコレクタ間に電流が流れるような働きです。

トランジスタの増幅とは、入力した信号を直接増幅するわけではなく、あくまで他の大きな電気の流れをコントロールして増幅します。ですからトランジスタが動作する(スイッチや増幅)ためには、最低の電圧が必要なのです。

このための電圧をバイアス電圧と言いますバイアス電圧を含めたトランジスタの回路をバイアス回路といいます。

その他にも

その他、増幅回路には交流も使われます。今までは直流でお話をしてきました。交流とは、簡単にいうと家庭に使われている電気のことです。電気の+と-が規則的に入れ替わる電気のことをいいます。

交流の話を始めると、交流における素子のこともお話しなければなりません。受動素子である抵抗、キャパシタ、その他にコイルというものもあるのですが、交流の場合は動きが変わってきます。

それらについても次回から紹介していきたいと思います。

ミツオ
ミツオ
まだまだいっぱいあるから今日はこれくらいで。増幅ってなかなか奥がふかいんだよね
ママ
ママ
そういえば、こないだのセンスアンプだって考えてみるとFETを動かすための電圧ってきまってるんでしょ?
ミツオ
ミツオ
うん、そうだよ。例えばセンスイネーブル信号は少しずつ立ち上がってくるからね。DRAMはデジタルなイメージだけど、細かい部分はアナログだよね

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    半導体材料のメーカーで長年仕事をしてきました。材料メーカーなので半導体について多くの詳細を知っているわけではありませんがその分七面倒くさい言い方ではなくわかりやすく伝えられると考えています。 もし、お時間と興味があれば、読んでみて下さい。

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